飲食店の清掃を業者に頼む場合、費用の目安は「作業内容×広さ」で決まります。
たとえば厨房の定期清掃なら1回3万〜8万円前後、床洗浄なら坪あたり500〜1,500円程度が一般的な相場です。
閉店後、油でベタつく厨房を見ながら「これ、外注したらいくらかかるんだろう」と検索窓に打ち込む。
「相場が分からないからぼったくられそう」「安すぎる業者も逆に怖い」。
そんな心の声が浮かぶのは、清掃業界の料金が店舗ごとの条件で大きく変わり、定価が存在しないからです。
この記事では、一般的な相場の目安と料金の内訳、見積もりを比較するときの判断基準を整理します。
読み終える頃には、届いた見積もりが高いのか妥当なのか、自分の物差しで判断できる状態になります。
厨房まわりは飲食店清掃の中心で、料金も比較的高めです。
一般的な相場として、厨房全体の定期清掃は1回3万〜8万円前後。
レンジフード(換気扇)の分解洗浄は1台1.5万〜4万円程度、グリーストラップ清掃は規模により1回1万〜5万円程度が目安とされています。
油汚れの蓄積度合いで作業時間が倍近く変わるため、同じ広さでも金額に幅が出ます。
正直なところ、開業以来一度も分解洗浄していないレンジフードは、相場の上限を超えることも珍しくありません。
逆に、半年ごとに手入れしている店舗なら下限に近い金額で収まることが多い。
つまり相場表の数字は「今の汚れ具合」で上下する、と覚えておくと見積もりに驚かずに済みます。
客席やホールの床洗浄は、坪数で計算されるのが一般的です。
機械による床洗浄+ワックスで坪あたり500〜1,500円程度、20坪の店舗なら1回1万〜3万円前後が目安になります。
トイレや窓ガラスは箇所単位で数千円〜、エアコン分解洗浄は1台1.5万〜3万円程度。
夜間や早朝の作業指定で1〜2割の割増がつく会社もあります。
ケースによりますが、駅前で駐車スペースがない店舗は搬入の手間で費用が上がることもあります。
広さだけでなく「作業できる時間帯」と「搬入経路」も金額を左右する。
見積もり依頼の際にこの2点を先に伝えると、精度の高い金額が出てきます。
同じ作業でも、単発のスポット依頼より定期契約のほうが1回あたりの単価は下がる傾向があります。
たとえば月1回の床洗浄を年間契約すると、スポット比で1〜2割安くなる例が多いようです。
汚れをためこまないぶん作業時間が短く済み、業者側もスケジュールを組みやすいからです。
ある焼肉店では、2年放置したダクト清掃に想定の倍近い費用がかかり、それを機に定期契約へ切り替えたところ、年間で見ればスポット2回分と大差ない支出で済んだそうです。
汚れは放置するほど高くつく。
これが現場の実感です。
見積書で見るべきは合計金額ではなく内訳です。
作業範囲(厨房のどこからどこまでか)、作業人数と時間、洗剤・機材費、出張費、廃棄物処理費、深夜割増の有無。
ここが「清掃一式◯万円」としか書かれていない見積もりは、後から追加請求が発生しやすい典型です。
よくあるのが、グリーストラップの汚泥処理費が別料金だったというトラブル。
飲食店の廃油や汚泥は産業廃棄物として適正処理が必要で、食品衛生法に基づくHACCPの考え方でも清掃・廃棄物管理は衛生管理計画の基本項目とされています。
処理費込みかどうかは必ず確認しましょう。
費用を抑えるコツは3つあります。
1つ目は、日常清掃は自店で行い、機械や分解が必要な部分だけプロに任せる切り分け。
2つ目は、閑散期にまとめて依頼し、繁忙期の割増を避けること。
3つ目は、複数箇所を同日にまとめて依頼し、出張費や段取り費を1回分にすることです。
逆にやってはいけないのは、清掃頻度を極端に減らす削り方。
最初は浮いたように見えて、汚れが固着してからの回復清掃は通常の1.5〜2倍かかることもあり、結局高くつきます。
ある喫茶店では、コスト削減で床清掃を年1回に減らした結果、ワックスの下に黒ずみが入り込み、剥離作業からやり直しに。
浮かせたはずの数万円が、翌年の請求で倍になって返ってきました。
削るなら「頻度」ではなく「範囲の切り分け」。
これが損をしない削り方の鉄則です。
業者比較の判断基準は次の5つです。
①内訳が項目別に明示されているか。
②契約前に現地調査をしてくれるか(見ないで出す見積もりは後で変わりやすい)。
③追加料金が発生する条件を事前に文書で説明できるか。
④損害保険に加入しているか(設備を傷めた場合の補償)。
⑤同業態の清掃実績があるか。
この基準はどの業者に対しても公平に使えます。
安い1社に即決するのではなく、2〜3社をこの物差しで並べて比較することをおすすめします。
高いから安心、安いから危険、と単純には言い切れないのが実情だからです。
ある20坪の居酒屋の店主は、3社から見積もりを取りました。
最安はA社でしたが、内訳が「一式」表記で、電話で聞いても「現場を見ないと何とも」との返答。
比較中は「安いほうでいいのでは」という迷いが何度もよぎったそうです。
最終的に選んだのは中間価格のB社で、決め手は現地調査の丁寧さと「ここは毎日お店でやれば頼まなくていいですよ」という提案だったそうです。
契約から半年、閉店後の拭き上げが10分短くなった。
店主が実感した変化は、その小さな10分でした。
現場スタッフ曰く「見積もり金額よりも、売ろうとしない説明をする会社のほうが長く続きますね」。
最初は半信半疑でも、相場の幅と内訳の見方さえ知っていれば、比較の土俵に立てます。
契約前の最終確認は、作業範囲の書面化・追加料金の条件・作業後の報告方法の3点。
ここまで確認できれば、大きな失敗はまず避けられます。
A1: 一般的な相場では厨房定期清掃3万〜8万円+床洗浄1万〜3万円で、合計4万〜10万円前後が目安です。
汚れの蓄積度と深夜作業の有無で変わるため、現地調査つきの見積もりで確認しましょう。
A2: 多くの業者で可能で、1台1.5万〜4万円程度が一般的な目安です。
ただし出張費が同じなら、エアコンや床とまとめた同日依頼のほうが総額では割安になります。
A3: 年2回以上頼むなら定期契約が有利な傾向で、1回単価が1〜2割下がる例もあります。
年1回以下の頻度ならスポットで十分です。
A4: 追加条件が曖昧な契約では起こり得ます。
「想定以上の汚れの場合の扱い」「汚泥処理費の有無」を契約前に書面で確認すれば、ほぼ防げます。
A5: 即断は禁物ですが、内訳と保険加入は必ず確認を。
作業範囲を狭くして安く見せているだけのケースと、効率化で本当に安いケースの両方があります。
A6: 店舗の維持管理費用として経費計上できるのが一般的です。
勘定科目や処理の詳細は税理士など専門家に確認すると確実です。
A7: 関係します。
食品衛生法に基づくHACCP制度化により、清掃・洗浄は衛生管理計画に位置づけられ、記録の保存も求められます。
定期清掃の報告書は監査時の証拠にもなります。
費用ではなく「記録が残る業者か」も比較項目に加えると安心です。
相場観という物差しを持てた今が、動きどきです。
まずは気になる業者2〜3社に現地調査つきの見積もりを依頼し、この記事の判断基準で並べて比べてみてください。
温浴施設・医療施設・飲食店など、すべての施設に共通する「清潔を維持する考え方」についてはこちらをご覧ください。
👉https://kankyosoji.com/?p=14833
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