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過去最大2024年最低賃金引き上げと温浴施設が対応すべきこと

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この記事は、株式会社環境システム社が執筆しています。

株式会社環境システム社は、「10年先のキレイを保つ清掃品質」の徹底により、日本全国の数多くの温浴施設・病院・福祉施設・飲食店などの清掃業務を請け負っています。

労働者の賃金の最低水準を定める最低賃金制度は、日本のみならず世界各国で導入されている重要な制度です。しかし、最低賃金の引き上げは、企業経営に大きな影響を与えることも事実です。

近年では、毎年10月ごろに、物価上昇や経済状況を反映し、再び最低賃金が引き上げられています。値上げ幅次第では、特に人件費への依存度が高い温浴施設業界に大きな影響が及ぶ可能性があります。

本記事では、2024年の最低賃金引き上げの背景や予想、違反したリスクなどを解説するとともに、温浴施設運営に与えるコスト面での影響や講じるべき具体的な対策についても言及していきます。

ぜひ参考にしてください。

最低賃金とは

労働者の賃金の最低限度を定めたものが最低賃金制度です。最低賃金には、全国一律の最低賃金と、それを上回る地域別最低賃金があります。最低賃金は賃金の概念に含まれるため、基本給だけでなく諸手当も対象となります。

この制度は、労働者の生活の安定と働く意欲を高め、公正な賃金決定を図ることを目的としています。最低賃金額は、毎年度改定され、物価や経済状況等を反映して引き上げられてきました。

地域別の平均時給はどれくらい?

ジョブリサーチセンターが発表した2024年5月の三大都市圏の平均時給は、以下の通りです。

・首都圏・・・1,224円(前年同月1,192円)
・東海・・・・1,106円(前年同月1,065円)
・関西・・・・1,148円(前年同月1,110円)

出典:2024年5月度 アルバイト・パート募集時平均時給調査

2024年最低賃金値上げの背景

2024年の最低賃金改定では、前年を上回る引き上げが見込まれています。その背景には複数の要因が重なっています。

物価の上昇

まず第一の要因は、2023年後半から続く物価上昇です。エネルギーや食料品を中心に消費者物価が上昇する中、実質的な賃金の購買力が下がっています。そのため、物価上昇に対応するための最低賃金の引き上げが必要とされています。

コロナ禍からの経済回復

コロナ禍からの経済回復の動きが最低賃金の引き上げを後押ししています。企業収益が改善基調にあり、賃金の引き上げ余地が出てきたと判断されているためです。政府も景気回復を追い風に、物価上昇への対応と併せて最低賃金の改定を進める構えです。

生活保護との格差是正

最低賃金と生活保護費の格差是正も、最低賃金引き上げの大きな背景となっています。政策的に最低賃金水準を生活保護費に近づけることが重視されており、その観点からの引き上げ要因にもなっています。

人手不足対策

人手不足対策の一環としての最低賃金引き上げという側面も無視できません。人材確保のためには、待遇改善が不可欠であり、最低賃金を引き上げることで企業の賃金底上げを促す効果が期待されているのです。

このように、2024年の最低賃金改定には複数の要因が重なっており、一定の引き上げは避けられない情勢と言えるでしょう。

違反した場合のリスク

最低賃金を下回る賃金しか支払っていない場合、使用者は最低賃金法に違反することになります。この違反には重いリスクが伴います。

まず、労働基準監督署から是正勧告を受け、この是正勧告に従わなければ、企業名が公表される可能性があります。企業の社会的信用が大きく失墜し、イメージダウンにつながりかねません。

さらに、最低賃金払い渡し命令に従わない場合、最大30万円の過料が課される可能性もあります。

また、労働者へ最低賃金以下の賃金しか払っていなかった場合、使用者は最大で3年分の差額を労働者に対して支払わなければいけません。

企業は最低賃金の確実な支払いを怠ると、金銭的、社会的に大きなリスクを被ることになります。違反には一切のメリットがない上に、かえって企業経営に重大な支障をきたしかねません。法令を遵守することが経営の大前提なのは言うまでもありません。

最低賃金引き上げ確定

2024年は景気回復の動きなどを受け、50円(引き上げ率45%程度)前後の引き上げ(全国平均時給1,055円)

昨年は全国平均時給が1,004円に引き上げられ、引き上げ額43円(引き上げ率4.5%)でそれを上回る過去最高の引き上げ幅です。

政府は2030年半ばまでに全国平均1500円という新たな目標を掲げていますので、今後ますます引き上げ幅が高くなっていく傾向にあると考えられます。

2024年の最終的な数字は中央最低賃金審議会の審議を経て、8月頃に政令で決定され、2024年10月から適用開始となる見通しです。

温浴施設への影響

最低賃金の引き上げ幅によっては、温浴施設運営にも大きな影響を及ぼします。特にパート・アルバイト人件費の増加が大きな負担になることが予想されます。

現在、全国で約10万人のパート・アルバイト従業員がいる温浴施設業界。仮に最低賃金が40円上がれば、年間で400億円以上の追加人件費負担が業界全体で生じる可能性があります。

人件費増は直接的な影響ですが、人材確保コストの上昇や、サービス価格への転嫁の必要性なども生じてくるでしょう。 価格を大幅に値上げすれば顧客離れも懸念され、運営に大きな打撃となりかねません。

温浴施設が今すぐやるべき対策は?

最低賃金の引き上げにより、人件費をはじめとするコストアップが避けられない状況に直面する温浴施設。そうした影響を最小限に抑えるべく、様々な対策を講じる必要があります。

固定費の見直し

まず何よりも重要なのが、光熱費などの固定費の徹底した見直しです。省エネ機器の導入や太陽光発電システムの設置、LED照明への切り替えなどにより、大幅なコストダウンが期待できます。

さらに、改めて保険やリース費などを見直して不必要な経費の排除に着手する必要もあります。備品の最小化や経費の棚卸しなどで、無駄な出費をなくしていようにしましょう。

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清掃や運営業務の外注

次に、業務の外部委託も有力な選択肢の一つです。清掃業務や運営業務を外部の専門業者にアウトソースすれば、人件費以外の固定費を大幅に圧縮できます。人を雇う必要がなくなるため、人件費の増加分を抑えられるメリットがあります。加えて、専門業者のノウハウを活用できるため、サービス品質の維持・向上にもつながり、お客様の増加も見込めます。

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まとめ

温浴施設業界だけではなく全ての業界で、2024年の最低賃金改定は大きな試練となりそうです。コストアップを価格転嫁以外の方法でカバーすることが、業界全体の健全な発展につながります。

そのためにも、固定費の徹底した見直しと業務の効率化が不可欠です。経済や雇用環境の変化に対応できるように、事前に対策を講じておくことが何より重要です。

弊社は相見積もりにも対応しておりますので、清掃や人材育成に関して不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

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