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清掃業界における値上げの背景と現状

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近年、新型コロナウイルス関連のニュースは減少傾向にある一方、国際情勢の不安定化や急激な円安進行、それに伴う各種業界での価格上昇に関する報道が連日のように見受けられます。

弊社にお寄せいただく新規の清掃見積もり依頼においても、既存清掃業者からの値上げ提案を受けての見直し相談が著しく増加しております。

そこで今回は、清掃業界における価格上昇が妥当性を持つものなのか、実際にどのような影響が業界全体に及んでいるのかについて詳しく説明します業界の現状を把握する参考資料として、ぜひご活用ください。

この記事は、株式会社環境システム社が執筆しています。

株式会社環境システム社は、「10年先のキレイを保つ清掃品質」の徹底により、日本全国の数多くの温浴施設・病院・福祉施設・飲食店などの清掃業務を請け負っています。

清掃業界の価格変動を引き起こす主要因子

現在の清掃業界における価格上昇には、以下の三つの主要因子が複合的に作用しています。

主要因子の概要

  • 労働力確保コストの大幅増加
  • 清掃資材・器具類の原価高騰
  • 運営に関わる各種経費の上昇

これらの要因により、清掃業界全体で価格調整の必要性が高まっている状況です。実際、2019年にはビルメンテナンス協会より清掃事業者全体に向けて、価格改定に関する協力要請が発信されており、この問題は約3年前から業界共通の課題として認識されていました。以下、各要因について具体的な事例とデータを交えて詳細に分析してまいります。

主要因子①:労働力確保コストの急激な増加

人件費の上昇は清掃業界に限らず、日本経済全体で発生している深刻な問題です。厚生労働省の統計データから、全国平均最低賃金の推移を調査いたしました。

全国平均最低賃金の年次推移(全国加重平均額から算出)

  • 2024年(令和6年):1,055円(前年比51円増、5.1%増)
  • 2023年(令和5年):1,004円
  • 2022年(令和4年):961円(前年比43円増)
  • 2021年(令和3年):930円(前年比3.1%増)
  • 2020年(令和2年):902円(前年比0.1%増)
  • 2019年(令和元年):901円(前年比3.1%増)
  • 2018年(平成30年):874円(前年比3.0%増)

参照元】地域別最低賃金の全国一覧

2020年は新型コロナウイルスの経済的影響により上昇率が抑制されましたが、2021年には再び3%台の上昇率を記録しました。弊社が事業展開している近畿・東海・中国地方においても同様の傾向が見られ、政府方針では2025年までに全国平均1,000円達成を目標としています。さらに、今後も年率3%程度の継続的上昇が予測されているとの報道もあります。

社会保険料は10年間で約5%増加

参照元:小幡兼志公認会計士事務所

この10年で、社会保険料率はじわじわと上昇を続け、企業が負担するコストは確実に増えています。厚生年金・健康保険・介護保険・雇用保険といった社会保険の合計負担は、労使合わせておよそ5%前後の上昇。たとえば、月給30万円の従業員1人あたりで試算すると、年間数万円単位の増加です。

特に中小企業にとっては、この固定費の増加は重くのしかかります。人件費全体の上昇圧力につながり、採用や待遇改善にブレーキをかけかねません。最低賃金の上昇とも重なり、今後はより一層のコスト管理と生産性向上が求められます。

一方で、社会保険制度そのものは高齢化社会を支える基盤でもあります。企業としては、「適正な人員配置」「業務の効率化」「外部リソースの活用」などを通じ、持続可能な経営体制を築くことが急務と言えるでしょう。

社会保険料の上昇は避けられない時代。企業はその現実を直視し、賢く対応する力が求められています。

全国清掃業界特有の人材確保課題

清掃業務に対する「3K(きつい・汚い・危険)」というイメージが依然として根強く、求人応募率の低迷が慢性化しています。この結果、多くの清掃事業者は最低賃金を上回る条件設定や、経験豊富な高齢労働者の積極採用を余儀なくされています。

一般的な清掃事業者では、現場スタッフの大部分を近隣地域のパートタイマーやアルバイトスタッフで構成しているのが実情です。しかし、単純に雇用すれば完了というわけではありません。

雇用に伴う隠れたコスト

  • 人材募集・選考に要する時間と費用
  • 清掃技術の指導・研修コスト
  • 日常的な勤怠管理業務
  • 突発的な離職への対応
  • 継続的な品質管理とモチベーション維持

これらの付随コストを考慮すると、表面的な時給以上の負担が事業者にかかっているのが現実です。

主要因子②:清掃資材・器具類の価格高騰

清掃用品の価格上昇は年々深刻化しており、弊社の主要取引先においても約10%の価格改定が実施予定となっています。業界大手企業では、約30年ぶりとなるモップ・マット類の大幅値上げが発表されるなど、その影響は業界全体に波及しています。

資材高騰の背景

施設の美観維持において清掃用品は必要不可欠な存在です。日常的に消耗する清掃資材の価格上昇は、清掃事業者の収益構造に直接的な打撃を与えています。

価格上昇の主な要因

  • 原油価格の変動による石油化学製品コストの増加
  • 国際的な原材料供給網の不安定化
  • 円安進行による輸入コストの増大
  • 製造・流通過程での人件費上昇

主要因子③:運営関連経費の全般的上昇

公共交通機関の運賃改定、ガソリン価格の高騰に加え、作業用ユニフォームの製作費用など、事業運営に関わる諸経費も軒並み上昇傾向にあります。前述の二要因と比較して影響度は限定的ですが、事業者の経営を圧迫する一因となっています。この影響度は各清掃事業者の運営体制により変動するため、一律の評価は困難な状況です。

環境システム社の温浴施設清掃事例

清掃に関するコスト管理の重要性

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以上の調査結果から、清掃事業者からの価格改定要請が増加している現状は、客観的事実として捉える必要があります。

業界全体の人材不足と原材料価格の高騰は、新型コロナウイルス流行以前からの構造的課題であり、昨今の物価上昇は価格改定要請の十分な根拠となり得ると判断されます。

清掃面におけるコスト管理は最重要課題であるといっても過言ではありません。

多角的なコスト最適化の重要性

価格上昇は清掃業界に限った現象ではなく、あらゆる業種で同様の課題に直面しているのが現状です。この状況を受け、多くの企業様がコスト最適化に向けた多角的な取り組みを強化しています。

しかしながら、コストを抑えた結果、サービスの低下を招くことは回避しなければなりません。最適なサービスを提供することが可能な清掃業社の選択が大切です。

複数の清掃業者による見積もりの比較検討

清掃サービスのコストは、作業内容・実施頻度・効率性の三要素によって大きく左右されます。新規契約時や契約更新時、「見積もり金額は妥当か?」「清掃内容や頻度に対して、作業時間は適切か?」「不明瞭な費用項目はないか?」など精査していただくことをお勧めします。

弊社環境システム社では、お客様が求める清掃品質に最適な頻度と作業内容を基に、最適な料金プランをご提案いたします。同時に、ご予算に応じた最大限の品質向上策もご提案可能です。

環境システム社新サービス「相見積もりサービス」のご案内

経済環境を取り巻く課題は山積していますが、お客様の事業運営に有益な情報提供を通じて、業界の健全な発展に貢献したいと考えております。

今回のコラムでご紹介したように、清掃業界全体で価格上昇が進む中、適正な料金での質の高いサービス選択がますます重要になっています。

「現在の清掃料金が適正なのかわからない」 

「値上げ交渉を受けたが、妥当な金額か判断に迷っている」

 「複数社を比較検討したいが、時間がない」

このようなお悩みをお持ちの温浴施設様向けに、環境システム社では新たに「清掃コスト最適化相見積もりサービス」を開始いたします。

御施設が良い選択をできるための検証と提案を報告させていただくことができますので、ぜひご利用ください。

詳しくはこちらから

環境システム社は、お客様の事業環境をより快適にするパートナーとして、継続的にサポートいたします。

温浴施設専用・清掃完全マニュアルを無料でお送りします

温浴施設専門の清掃会社として培ってきた独自のノウハウが詰まった、温浴施設専用清掃マニュアルの資料を無料でお送りいたします。

値上がりした電気代を下げたい方へ

弊社では、値上がりした電気代を下げたいという業者様に向けて、エアコン電気料金の削減対策を行なっています。大掛かりな設置作業は不要なため、今すぐできる節電対策です。

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